さきに子規の生涯(『評伝 正岡子規』)を書いた柴田宵曲(1897―1966)は、ついで子規とその門人との交渉を「子規居士の周囲」にまとめた。新たに同書に採り上げなかった人物で、今は披見されることも少なくなった、篤実にして炯眼を具えた八家の門人の子規との交流及び俳句に触れた「明治俳壇の人々」を併載した。(解説=小出昌洋)目次
- Ⅰ子規居士の周囲
- はしがき
- 子規居士の周囲
- 内藤鳴雪
- 愚庵
- 陸羯南
- 夏目漱石
- 五百木飄亭
- Ⅱ 明治俳壇の人々
- 数藤五城
- 阪本四方太
- 今成無事庵
- 新海非風
- 吉野左衛門
- 佐藤紅緑
- 末永戯道
- 福田把栗
本屋入ったら棚にあったからそのまま購入して読んだんだけど、『評伝正岡子規』(amazon)を未読だからなのもあり、普段よりも読み通すのがダルかった。これは著者の手元にあった資料の量がほかの著作と比べて多かった(と思う)のも関係しているかもしれない。ここまで読んできたイメージで離すと柴田宵曲はあまり構成美のある随筆家ではなくて、どちらかといえば筆の向くままに知ってることを並べていくようなスタイルの著述をする。それが今回は裏目っているんじゃないかと思った。各章これといった山があるわけでもなく、一人ひとりの章が長く感じられた。本書には取りあげられていないけれども、子規の弟子筋に寒川鼠骨という人がいて宵曲は鼠骨の弟子筋のようなので、あっちこっち門が立たないような工夫を施している可能性もあり、普段より退屈したのはそのせいもあるのかもなどという邪推も働いた。まあ、これだけ読んでいれば相性のよくない作品に出くわしても不思議じゃないというか、よく今まで気分よく読めるもんばかり引いていたものだと考えるほうが当たり前なんだろう。そんなわけでこれに関してはあまりぴんと来なかった。
子規居士の周囲 (岩波文庫)
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