2019年3月15日金曜日

柴田宵曲 『明治の話題』


 彗星、憲法発布、園遊会、観覧車、辻占売り、アイスクリーム、烟草の広告、鐘の音、コックリさん、ゴム風船等々、百五十余に及ぶさまざまな事物、風俗、主題によって明治を語った随筆集。博覧強記にして滋味横溢。事物起原の考証から懐かしい日常風景まで、多種多様な話題をめぐって、漱石、鏡花、子規、緑雨らの文章を縦横に引き、また文化人、政治家、ジャーナリスト等の興味深い逸話を数多く収めた本書は、さながら明治文学詞華集、人物逸話集の趣もある。三谷一馬の挿画10葉を付す。
だいたいこのまとめどおりの本だった。ところどころ時代の限界を感じるような記述もあったものの、次々読んでみたいと思う本が増えていくのでいい本だったに違いなく、挿絵を除けば著作権は切れているわけだから、出典とか調べて注釈つけてKDPしたら楽しいだろうな、などという夢想も広がった。著者が子規を好んでいたのはいい加減わかってきたのだけど、本書を読むと緑雨も相当お気に入りだったようだ。読んでみたいんだけど青空文庫はまだ充実度がいまいち(でも、何冊かダウンロードしてみた)で、生きてる本も見当たらず。そのうち図書館で全集眺めてみようかなあ。
 なお『明治風物誌』(amazon)という続編もあるみたいなので、そのうち機会があったら読んでみたい。


明治の話題 (ちくま学芸文庫)

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